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2024/01/29

2024年4月から変わる!食品包装における「無添加」の表示ルール

2024年4月から変わる!食品包装における「無添加」の表示ルール|薬機法ライティングコラム

スーパーの食品売り場や自然食品店などでよく目にする「無添加」「添加物不使用」の表示。

消費者庁の調査によると、実に60%以上の人が食品添加物不使用の表示を参考にして食品を購入した経験があるという。(「令和2年度 食品表示に関する消費者意向調査」)

このように消費者への訴求力が非常に高い無添加表示だが、この表示に関して近年さまざまな動きが出てきている。
今回は食品添加物の役割と「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」についてみていきたい。

食品添加物とは

食品添加物とは、食品の製造や加工、保存の目的で使用されるもの。
食品衛生法では「食品の製造過程で、または食品の加工や保存の目的で食品に添加、混和などの方法によって使用するもの」と定義されている。

以前は合成添加物だけが食品添加物に指定されていたが、現在は「天然」「合成」の区別はなく、どちらも食品添加物として認められている。

なお、食品添加物は、安全性と有効性が科学的に評価され、厚生労働大臣が認めたものだけが使用できることも覚えておきたい。

食品添加物はどこを見れば確認できる?

以前の食品表示法では「原材料」と「添加物」の明確な区切りはなく、「原材料を重量順に、その後に添加物を重量順に表示する」ことがルールになっていた。
しかし、2015年の法改正によって、原材料と食品添加物を明確に区別して表示することが義務付けられることに。

これにより、消費者は商品の容器や包装に記載されている食品表示を確認することで、使われている食品添加物を簡単に確認することができるようになった。

具体的には、原材料一覧の「/」の前に書かれているのが原材料、「/」の後に書かれているのが食品添加物だ。
ここを見ることで、食品添加物を使用しているかどうか、また、使用している場合はどのような種類の食品添加物かを確認することができる。

そもそも「/」が存在しない場合は、添加物が含まれていないことになる。

「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」とは

2022年3月、消費者庁によって「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」が公表された。
食品添加物の不使用表示に関する消費者の誤認を防止し、適切な表示を促すことを目的としている。

ガイドラインでは、食品添加物の不使用表示を行う際に留意すべき事項として、以下の10類型を定めている。

類型1:単なる「無添加」の表示

「無添加」とだけ記載されている表示のこと。
消費者にとって何の成分が無添加・不使用なのかが分かりにくいため、誤解を招くおそれがある。

類型2:食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示

「無添加」あるいは「不使用」という言葉とともに、人工、合成、化学、天然などの用語を用いた表示のこと。
かつてよく目にした「人工甘味料不使用」「合成着色料不使用」「化学調味料不使用」などの表現は、現在では使用不可となっている。

類型3:食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示

法令上、食品添加物の使用が認められていない食品に対する「無添加」あるいは「不使用」の表示のこと。
たとえば、清涼飲料水にソルビン酸を添加することは使用基準違反となる。
それにもかかわらず、「ソルビン酸不使用」などとあえて表示することにより、不使用表示のない商品よりも優れていると消費者の誤認を招くおそれがある。

類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示

「〇〇無添加」や「〇〇不使用」といった表示をしながらも、実際には〇〇と同様の機能を持つ他の食品添加物を使用している食品についての表示のこと。
たとえば、食品の日持ちを向上させるために保存料以外の食品添加物を使用した場合、「保存料不使用」と表示することは許可されていない。

類型5:同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示

「〇〇無添加」「〇〇不使用」といった表示をしながらも、実際には〇〇と同様の機能を持つ原材料を使用している食品についての表示のこと。
たとえば、原材料として「アミノ酸を含む抽出物」を用いている食品に、調味料無添加の旨を表示するのはNG。

類型6:健康、安全と関連付ける表示

「無添加」あるいは「不使用」を、健康や安全の用語と関連付けている表示のこと。
つまり、「体に良いこと」や「安全であること」の理由として無添加あるいは不使用を表示することが禁止されている。

類型7:健康、安全以外と関連付ける表示

「無添加」あるいは「不使用」を、健康や安全以外の用語(おいしさ、賞味期限及び消費期限、食品添加物の用途等)と関連付けている表示のこと。
たとえば、「保存料を使用していないため、お早めにお召し上がりください」といった表示が、「開封後」に言及せずパッケージに記載されていた場合、消費期限に対する誤解を生じさせるおそれがある。

類型8:食品添加物の使用が予期されていない食品への表示

消費者が「この食品添加物は使用されていないだろう」と通常考えるような食品に対する「無添加」あるいは「不使用」の表示のこと。
たとえば、ミネラルウォーターに着色料が使われていないことは、ほとんどの人がわかる。
それにもかかわらず、あえて「着色料不使用」などと表示することで、同種の製品よりも優れているという誤解を与えるおそれがある。

類型9:加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示

加工助剤、キャリーオーバーとして食品添加物が使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への「無添加」あるいは「不使用」の表示のこと。
原材料の一部に保存料を使用しているにもかかわらず、最終製品に「保存料不使用」と表示することなどがこれに該当する。

類型10:過度に強調された表示

「無添加」あるいは「不使用」の文字等が過度に強調されている表示のこと。
具体的には、「無添加」や「不使用」の文字を、商品の容器やパッケージの大部分に大きく表示したり、太字や色などで目立つようにしたりすることを指す。
また、保存料や着色料以外の食品添加物を使用している食品に、「無添加」と表示し、その横に小さく「保存料、着色料」と表示することも禁止されている。

参考:「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(消費者庁)

ガイドラインの対象と適用時期

食品添加物の不使用表示に関するガイドラインは、すべての食品に適用される。
そのため、健康食品やサプリメントなどの「無添加」表示も例外ではない。
なお、ガイドラインの対象はパッケージのみであり、Webサイトやチラシなどの広告は対象外となる。

2022年3月から適用されているこのガイドラインだが、表示の見直しやパッケージ・ラベルの入れ替え等を考慮して、2年間の移行期間が設けられている。
この移行期間は、2024年3月末まで。
各食品メーカーや関連事業者は、この期限までにガイドラインに準じた表示に変更しなければならない。
もし2024年4月以降にガイドラインに違反する表示が見つかった場合は、罰則が科される可能性も。

すべての不使用表示が禁止となるわけではない

今回のガイドラインは、食品添加物の不使用表示を厳格化するものであり、一律に禁止するものではない

たとえば、ここに「無添加」とだけ表示されているりんごジュースがあるとしよう。
現行のルールでは、この表示はNGとなる。
一方で、このりんごジュースに着色料や着色料と同じような機能を持つ原材料・食品添加物が使用されていない場合は、「着色料不使用」と表示することができる。

また、前述のとおり、このガイドラインは商品のパッケージにのみ適用されるもの。
食品添加物に関する情報をより具体的に伝えたい場合は、Webサイトやチラシなどの広告を活用することもできる。

この表現はOK? NG?

では、以下の表示はガイドラインに沿ったものになっているだろうか。
問題がないか考えてみよう。

・商品のパッケージに「グルテンフリー」と表示
→食品添加物の不使用表示に関するガイドラインが対象としているのは「食品添加物」のみ。
グルテンは食品添加物ではないのでOK。

・商品のパッケージに「無添加にこだわっているのでおいしさが違います」と表示
→食品添加物の不使用表示のガイドライン類型7に該当するので×。

パッケージの表示は商品の内容を正しく伝えるとともに、消費者に商品の魅力を訴求し、購買意欲を喚起する役割も果たす。
パッケージの表示に対し、食品メーカーはこれまで以上に戦略と思考が求められるだろう。

まとめ

今回は、食品添加物の不使用表示のガイドラインについて簡単にご紹介した。

安全性や健康への影響など、食品添加物にまつわる情報を詳しく知りたいと考える消費者は少なくない。
一方で、商品パッケージの表示だけでは、食品添加物の安全性や商品の特徴を十分に訴求できない場合もある。
そのため、食品メーカーは自社のWebサイトやSNSなどを活用して、食品添加物に関する情報を積極的に発信していくことも有効だ。

今後も、食品表示に関する規制や消費者の意識が変化していくことが予想される。
食品メーカーや関連事業者はこれらの変化を的確に捉え、適切な表示を行うことで、消費者の信頼を獲得し、事業の発展につなげていくことが求められるだろう。

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