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2023/03/31

薬機法をクリアしながら、訴求力の高い化粧品コピーを作成するコツ

新型コロナウイルス感染症の「5類」引き下げを目前に、化粧品業界にも活気が戻ってきている。
「脱マスク」の需要を取り込もうと、商品の広告・宣伝に力を入れているメーカーも少なくない。
今回はそんな化粧品広告において、薬機法を守りながら訴求力を高めるコピー作成のコツをご紹介したい。

化粧品の広告で表現できる範囲はどこまで?

化粧品の広告では、以下56項目の範囲内で効果効能を述べることができる。
裏を返すと、この56項目の範囲を超えた表現は薬機法違反となってしまうので注意が必要だ。

化粧品広告で記載できる56項目の効果効能

(1)頭皮、毛髪を清浄にする。 (29)肌を柔らげる。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。 (30)肌にはりを与える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。 (31)肌にツヤを与える。
(4)毛髪にはり、こしを与える。 (32)肌を滑らかにする。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。 (33)ひげを剃りやすくする。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。 (34)ひげそり後の肌を整える。
(7)毛髪をしなやかにする。 (35)あせもを防ぐ(打粉)。
(8)クシどおりをよくする。 (36)日やけを防ぐ。
(9)毛髪のつやを保つ。 (37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(10)毛髪につやを与える。 (38)芳香を与える。
(11)フケ、カユミがとれる。 (39)爪を保護する。
(12)フケ、カユミを抑える。 (40)爪をすこやかに保つ。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。 (41)爪にうるおいを与える。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。 (42)口唇の荒れを防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。 (43)口唇のキメを整える。
(16)毛髪の帯電を防止する。 (44)口唇にうるおいを与える。
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。 (45)口唇をすこやかにする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。 (46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(19)肌を整える。 (47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(20)肌のキメを整える。 (48)口唇を滑らかにする。
(21)皮膚をすこやかに保つ。 (49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(22)肌荒れを防ぐ。 (50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(23)肌をひきしめる。 (51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(24)皮膚にうるおいを与える。 (52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。 (53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。 (54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(27)皮膚を保護する。 (55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。 (56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。

出典:化粧品の効能の範囲の改正について(厚生労働省)

なお、(56)の「乾燥による小ジワを目立たなくする。」は、平成23年に新たに追加された表現。
「化粧品機能評価法ガイドライン」に基づく評価試験等を行い、その効果を確認できた場合のみ使用できる。

この一覧を見て、表現できる範囲がかなり狭いと感じた人も少なくないだろう。
実際、多くの化粧品メーカーが訴求したい「アンチエイジング」や「若返り」「細胞の活性化」といった表現は、上記範囲を逸脱するためすべてNGとなる。

リスクを回避するためにも薬機法や景表法の遵守は必要不可欠だが、一方で広告としての訴求力が低下するのもできるだけ避けたいもの。
そのためには、化粧品56項目の効果効能を商品の特性に合わせて効果的に言い換えることが大切だ。

表現の仕方で商品の印象はここまで変わる!

たとえば、化粧水の広告で「健やかな皮膚を保ちます」と謳った場合、はたして商品の魅力を十分に伝えることができるだろうか?
実はこの化粧品56項目の効果効能はそっくりそのまま使わなければいけないわけではなく、それぞれの範囲を超えなければ別の表現に言い換えることができる
以下にその一例をご紹介しよう。

「肌にツヤを与えます」→「思わず触れたくなるような輝く肌へ」

「輝く肌」という表現は、「化粧品56項目の効能効果」に含まれる「ツヤ」「うるおい」の範囲内であると考えられるためOK。
見る人に「キラキラと光り輝く美しい肌」というイメージを与えることができる。
また、コピー内に「思わず~」という「感情」を盛り込むことで、女性消費者の心に刺さりやすくなる効果も。

「皮膚にうるおいを与えます」→「スッとなじんでぷるぷるのお肌に」

使ったときの感覚を一瞬でイメージできるよう、コピーに擬音語・擬態語を採用。
これにより、消費者に商品の魅力や特長が一気に伝わりやすくなる。
化粧品ではこのほかにも、肌の質感や手触りを感覚的に表すことができる「もちもち」「ツルツル」「さらさら」「しっとり」といった擬音語・擬態語がよく使われている。

このように、表現の仕方ひとつで商品の印象をここまで変えることができるのだ。

まとめ

今回は、化粧品56項目の効果効能の範囲内で訴求力の高いコピーを作るコツを簡単にご紹介した。
しかし、実際にどこまでOKでどこからNGなのかという線引きは非常に難しく、前後の文脈や広告全体の印象によって解釈されることも多いため、化粧品の広告作成には専門的な知識とテクニックが必要となる。

マーケティングを効果的に展開していくためには、化粧品に認められた表現の中で魅力的なコピーを作成することが不可欠。
年々厳しくなる各種法規制と上手に付き合いながら、一人でも多くのユーザーに商品の魅力を伝えられるよう工夫していきたい。

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